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 10月22日に当会主催で、樋口英明元裁判官(2014年、福井地裁在任中の裁判長として関西電力大飯原発3,4号機の再稼働を認めない判決を下した、元裁判官)をお招きしての映画上映&講演会が新潟市中央区にある万代シルバーホテルで開かれました。

​当日のご報告をいたします。

片桐会長挨拶

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​講演会の要約です

「原発の再稼働をとめよう 元裁判官と考える」

            元裁判官・樋口英明氏の映画上映会、講演会報告

                       2023年10月22日

 新潟の新しい未来を考える会(片桐奈保美会長)主催の講演会が10月22日正午から新潟市の万代シルバーホテルで開かれ約200人が参加しました。今回は「原発の再稼働をとめよう」をテーマに、元裁判官の樋口英明氏が講演しました。講演会前には弁護士・河合弘之氏らが企画制作した映画「原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち」が上映されました。講演会では映画の主人公を演じた樋口氏が「原発は人が管理し続けなければならず、管理できないときの被害が甚大になります」などと訴え、再稼働の動きを批判しました。

 

 開会に当たり片桐会長が「樋口さんの本を読み、大変感動しました。樋口さんが紹介しているキング牧師の言葉『究極の悲劇は悪人の圧制や残酷さではなくそれに対する善人の沈黙である』は全く同感です。原発を子供たちに残して死ねません。沈黙することなく、反原発の輪を大きく広げていきましょう」などを訴えました。

 

 樋口氏は2014年、裁判長として福井県の関西電力大飯原発3,4号機の運転差し止めを命じる判決を下しました。その主な理由は地震大国の日本の原発は高度の安全性が求められるが、耐震性は極めて低いというもの。2017年に退官後は原発の危険性を訴えて各地を講演しています。

 

 この日の講演会では、最初にプロ野球・大谷翔平選手の座右の銘「先入観は可能を不可能にする」を示し、二刀流が成功したのは先入観を払拭できたからだ、と紹介しました。そして、「私は3・11の原発事故が起き、日本の原発は終わると思いました。しかし、終わらなかったのは、私たちの心の中にある固定観念、先入観のせいです」。例えば「危ない原発を排除するため新たに原子力規制委員会ができたのだから、3・11後に規制委員会の許可を得て稼働する原発は安全だと考えてしまう。さらに一番大きな障害は私たちのなかにある原発問題は難しいという先入観です」と強調しました。

 

 そして、「原発問題は難しくはありません。たった二つのことが理解できればよいのです」と述べ、①原発は人が原子炉を管理し続けなければならないこと②管理ができず暴走した場合の被害は甚大になること、この二つだと解説しました。例として「老朽原発は老朽旅客機に似ています。50年前の飛行機には誰も乗りません。老朽化すると想定外のことが起きやすくなるからです。岸田首相は原発の運転期間を延長しましたが、老朽原発は危険で許されません」と語りました。

 ロシアのウクライナ侵攻時から天然ガスが値上がりし、電気料金が上がる予想から原発を動かすきっかけになりました。「しかし、ポイントは欧州最大のザポリージャ原発がロシアに占拠され、原発が攻撃の標的になればヨーロッパが壊滅すること。そのことを話題にせず、天然ガスの話ばかりをするのはピントがずれています。原発は自国に向けられた核兵器(河合弁護士の言葉)なのです」。また、原発が電力コストの低減になるというコスト論について東京電力の売り上げなどを具体的に示しながら「一発の原発事故で100年分の利益が飛んでしまう。だからコスト論は通用しません」と言い切りました。

 

 一般的に原発は被害が大きいのだから、それなりに安全だという前提で論議されています。しかし、樋口氏は「原発だけは例外。事故の被害は甚大な上、原発の耐震性が低いから事故発生確率は高い」と強調しました。また、地震予知が不可能なのに「原発敷地内に限っては強い地震が来ない」という電力会社側の主張が信用できるか。裁判官は普通の人が普通に考える結論を出さなくてはならないと述べました。「原発訴訟は高度に専門技術訴訟」という言葉に惑わされてはならないとも指摘しました。

 

 最高裁の顔色ばかりをうかがう「ヒラメ裁判官」について、「今の最高裁は国策に対し腰が引けている。多くの裁判官は自分の判決が高裁、最高裁まで維持できるか考え、敗れるような判決を出すと住民に不要な期待を持たせる。上告の手間をかけ負けるだけなら最高裁が望む判決を出せばいいと考えます。しかし、裁判官は憲法76条の良心に従い独立して職務を行い、憲法と法律のみに拘束される。私はこれを“独立の気概〟と言っており、最高裁に支持されるかとうかで判断するのはおかしい」と持論を展開しました。

 

 最後に母校で講演した際に高校生に答えた話を紹介し「あなたの大切な二人の人に原発の危険性を伝え、その二人がまた大切な二人に危険性を伝えてほしい。そうすれば大きな輪が広がるから」と呼びかけ講演を締めくくりました。

 その後、質疑応答に入りました。参加者から「原発の運転延長問題で機械屋(製造業)の声が聞かれないのはどうしてか」との質問に樋口氏は「機械屋に限らず、あらゆる面で人の口が封じられています。子供の甲状腺がん問題なども国策を盾に口が封じられています」と答えました。樋口氏が出した判決に関し「圧力や嫌がらせはなかったか」との会場からの問いに「勇気ある判決と言われましたが、私に迷いはありませんでした」「退官直前だから(差し止め判決を)出せたのではなく、40歳のときでも同じ判決を出しました」と断言しました。ヒラメ裁判官に関して「国策に沿わない判決を出すと左遷されるのか」との質問には「昔は直ちに露骨な左遷人事がありましたが、現在はそのようなことはありません。ただ、長期的に素人にわからないようにやっている」と内情を明かしました。

 

 今回は普段はあまり接触の機会がない元裁判官の講演会とあって、原発問題だけでなく裁判一般についての質問も多く出されました。

講演会&懇親会の様子です

メディア情報

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​書籍のご紹介です

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以上、ご報告させていただきました。

講演会にご来場いただいた方々、ありがとうございました。

また、こちらのページにて最新情報のお知らせをいたしますので

よろしくお願いいたします。

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